子どもの足指変形が姿勢や呼吸、歯並びに及ぼす影響とは|指育の観点から考える

指育とは?

人は足趾の機能的な発達が不十分な場合、足部周囲筋が十分に発達せず、アーチ機能が低下するために「歩く」「立つ」「走る」「座る」などの基本的動作能力・運動能力の低下に支障が生じます。

それによりO脚・X脚・猫背・反り腰・側弯症などの不良姿勢を引き起こし、骨格の変形、呼吸筋の機能不全、気道が狭くなることによる呼吸障害、さらには舌や口腔周囲筋の機能的未発達を起こすので、顎の狭小化または下顎の前突・後退を起こしていきます。気道が狭くなることにより脳への酸素が十分に供給されず、発育や発達に障害が生じたり、学習能力・注意能力・コミュニケーション能力・問題解決能力にも支障が生じます。

これらを防ぐためには、子どもの頃からの良好な足趾機能の成長・発達(指育)が不可欠です。新生児期から足指の正常な発達を促すこと(指育)により、運動機能発達不全を防止し、不良姿勢、呼吸機能障害、口腔機能不全、不正歯列、顎顔面の成長遅延や未発達、口呼吸、低位舌、咀嚼機能低下、睡眠障害、学習障害を予防し、正常で健康な心身の発達を目指しことが指育です。  

 

目次

足趾機能不全症とは

 

足趾
☑️ 足指を真横に30秒間開くことができない
☑️ 足指を強く握ることができない
☑️ 足指の親指と人差し指で指を上下に弾くことができない
☑️ 外反母趾(がいはんぼし)がある
☑️ 内反小指(ないはんしょうし)がある
☑️ かがみ指(ハンマートゥ)がある
☑️ 浮き指(うきゆび)がある
☑️ 寝指(ねゆび)がある
☑️ 巻き爪(まきづめ)がある

足趾機能不全による「姿勢」と「呼吸」と「顎の発達」の問題

足部
☑️ 足長に左右差がある
☑️ 足幅に左右差がある
☑️ 親指の付け根にタコがある
☑️ 小指の付け根にタコがある
☑️ アキレス腱が内側に傾いている
☑️ アキレス腱が外側に傾いている 姿勢
☑️ O脚がある
☑️ X脚がある
☑️ 猫背がある
☑️ 反り腰がある
☑️ 肩の高さが違う
歩行など 
☑️ 内股で歩いている
☑️ 外股で歩いている
☑️ ドスンドスン歩く
☑️ 走り方がおかしい
☑️ ジャンプが下手
☑️ しゃがめない
☑️ よく転びそうになる
その他
☑️ 口呼吸がある
☑️ いびきをかく
☑️ 舌突出がある
☑️ 咀嚼癖がある
☑️ 構音に障害がある
☑️ 口腔習癖がある
☑️ 舌小帯が短い
☑️ 顎がずれている
☑️ 上下顎が狭い(歯列・咬合の異常)
 

足趾機能不全の原因

それでは、なぜ足趾機能発達不全が起こるのでしょうか?

乳幼児期の原因

  足趾機能の発達が遅れる原因のひとつに、「ハイハイの不足」が挙げられます。 ヒトが発達していく中で「ずりばい」「よつばい」「たかばい」というのは、足趾機能に大きく関わります。そのため、この「ずりばい」と「よつばい」による足趾からの感覚を十分に与えられなければ、足趾の感覚が鈍感なままで、いつまでも随意運動が獲得できなくなります。その結果、足部機能や歩行機能を獲得できなくなってしまうのです。   しかし今の子どもは、赤ちゃん時代にハイハイを十分にできる環境がありません。

また、「くつ下」を履かせることでハイハイができなくなることがあります。ハイハイの時期が短いということは、足部や背筋の発達が未熟なまま歩くようになるということです。   それでは正しい歩き方が出来ずに結果、姿勢が崩れてしまいます。崩れた姿勢のバランスを取るべく重い頭を支えようとして傾き、猫背・反り腰・ストレートネックになったり、顎が下がって過蓋咬合になったり、顎を前に出して反対咬合になったり…という問題にもつながります。   妊娠中の姿勢も関係しています。出産後の授乳姿勢や赤ちゃんの抱き方、寝かせ方なども姿勢や呼吸に大きな影響を与え、結果として歯並びに関係していきます。  

学童期の原因

乳幼児期までは足指や姿勢は良かったのに、保育園や幼稚園に通い出してから悪くなることもあります。それは通学時に使う「靴」や「くつ下」、園内で使う「上履き」に原因があるからです。   保育園や幼稚園では「靴」や「くつ下」は履かない方が良いのです。それは3歳までに足のアーチが形成され、10歳までに背骨のS字カーブが形成されるからです。

はだし保育実践の保育園であっても、家に帰るときや休日の時などには「靴」や「くつ下」を履くことで足趾機能不全を起こしてしまいます。なるべく足趾機能不全を起こさないように「靴の正しい選び方」「靴の履き方」「靴下の選び方」などが大切なのです。   それ以外にも、勉強するときの椅子の高さが合わずに足が宙ぶらりんであったり、座っている時間が長いことで足部の未発達を起こします。

今の子供たちは習い事や塾などで外遊びが減っているので、足部の感覚入力や足趾機能の発達が遅れているのも原因のひとつです。せめて30分に1回は立つようにしたり、欧米のように立って授業を行える環境があれば、足趾の機能発達を促すこと(指育)ができると思います。  

成人〜高齢者の原因

  これも学童期の原因と同じことが言えます。1日10時間くらい「靴」や「靴下」を履くことにより、その影響はとても大きいものとなります。仕事が始まればビジネスシューズであったり、女性であればパンプスを履くことも増えていきます。

「靴の選び方」や「履き方」が良ければ予防することもできますが、90%以上の方が自分の足に合わない靴であったり、履き方を間違えて足指を痛めています。   高齢者であれば介護シューズが一番の問題になりますが、「履きやすい靴」=「足に良い靴」と考えているところに落とし穴があります。

靴は足を守ってくれる道具なのですが、「履きやすい・軽い・柔らかい」というものは足を守るどころか、足・足指をかえって悪くしてしまいます。くつ下も履きやすくて圧迫(フィット)しないものを選びがちなので、くつ下の「中」で足が滑ってしまい、足趾機能不全を起こしている方が多いです。

指育メソッド

  準備中

湯浅慶朗(YUASA YOSHIRO)
足指研究所 所長
理学療法士、足指博士、足指研究所 所長。ハルメク靴の共同開発者。東京大学で研究を行う。

病院で理学療法士として高齢者医療(リハビリ)に携わる。現代医療のあり方に疑問をもち、病院を退職。妻のO脚改善をきっかけに足指の研究に入る。一生歩き続けられる体をつくる「ひろのば体操」を考案。西日本新聞連載「お茶の間学・足指伸びてますか~」(全22回)が人気となり、NHK「サキどり」「ガッテン」などで足育として取り上げられ、大きな反響を呼び、足指研究所で足腰の相談に乗るほか、病院の再建をはじめ、一般や学生、児童向けの講演活動を行っており、日本国内だけでなく、ニューヨークやバンコクなど、世界各地を飛び回っている。

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