はだしの効果|アトピー性皮膚炎と自然欠損障害ー動物がアトピーを治す

アトピー性皮膚炎とは、もともとアレルギーを起こしやすい体質の人や、皮膚のバリア機能が弱い人に多く見られる皮膚の炎症を伴う病気です。

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はだしとアトピーの関係

子どもの頃から土に触れることは、免疫系強化に役立ち、アレルギーや喘息の発症を防止すると考えられていますが、その経路は解明されていません。しかし、喘息や潰瘍性大腸炎(一般的な炎症性腸疾患)の発症における細菌暴露の役割の解明に役立つ機構が明らかになり、Scienceに発表されました。下のグラフでは、1994年にオーストラリアで国際小児喘息・アレルギー調査機関(ISAAC)が行った調査によるもの。清潔な環境で育った子供と、土などに含まれる最近などに多く触れてきた子どもで、各疾患にどれくらいかかりやすいのかを比較したものです。アトピー・アレルギー・喘息ではかなり大きな差があることがわかると思います。

こちらは、2004年にミュンヘン大学などの研究グループが、800人以上の子どもの生活環境を調べた結果です。アレルギーでない子どもの部屋のほこりから、ある共通する成分が見つかったと報告しています。清潔な環境で育った子供と、土などに含まれる最近などに多く触れてきた子どもでは、明らかに「清潔環境」の子供の方がアトピー・アレルギー・喘息・花粉症にかかりやすいことがわかります。それは、大腸菌などの細菌の死骸から放出される「エンドトキシン」という毒素。エンドトキシンの主な発生源は家畜の糞で、アレルギーのない子どもや家族は家畜小屋などで多く過ごしているため、日頃からエンドトキシンに晒されていたのです。その刺激で免疫機能が発達したのではないかと研究者は報告しています。

エンドトキシンというのは、大腸菌などの細菌を被ってて、細菌が死んだ後に遊離される物質。家畜の糞に含まれてるので、家畜小屋にはそれがたくさん浮遊しています。人間、生まれてしばらくは免疫機能が未発達で、igE型抗体にも細菌型抗体にもなりうる未成熟な免疫細胞を多く持ってるそうです。この細菌の抜け殻のようなエンドトキシンの多い環境に育つと、細菌型抗体を多く持ち、相対的にigE型抗体が少ない、すなわちアレルギーになりにくい体になるということなのです。

 

はだしで遊ぶことは、アレルギー性疾患にも効果的

家畜だけでなく、家庭での犬や猫も、子供のアレルギー疾患に対して関係しています。米国Georgia医科大学小児科のDennis R. Ownby氏らは、6歳から7歳までの生後1年の犬と猫の曝露とアレルギー感作の関係を評価するため、新生児474人とその両親に協力を要請。1987年4月15日から1989年8月31日の間に生まれ、ミシガン州デトロイト郊外の健康維持組織に登録され、健康な乳児の出生コホート研究。平均年齢は6.7歳。出生時に最初に研究に参加した835人の子供のうち、474(57%)が6〜7歳で追跡評価を1歳時のペット飼育状況と、6~7歳時のアトピー性疾患発症率との相関を調べた。子供の男女比はほぼ半々。乳児期にペット(犬または猫)がいない環境で育った子供は全体の約半数で、犬か猫のどちらか一匹がいる環境で育った子供は3割、犬か猫を併せて2匹以上飼っている家庭で育った子供は2割だった。

ペットが2匹以上いる家庭の子供は、ペットがいない家庭やペットが1匹だけの家庭と比べ、一人っ子が多く(順に53.3%、41.6%、45.1%)、両親のいずれかが喫煙する率も高かった(順に35.1%、25.6%、34.3%)。なお、両親のアトピー性疾患罹患歴は、ペットの有無や数と相関はなかった。研究グループは、子供が6~7歳になった時点で6種類の抗原を用いた皮膚プリック試験を行い、一つでも陽性となった場合を「アトピー性疾患あり」と判定した。

 

動物アレルギーに清潔環境は危険!?

上記のものは犬アレルギー、猫アレルギーがあるかどうかを「皮膚プリックテスト」で調べたもの。犬を2頭以上飼っている家では、動物アレルギーが極端に少ないことがわかる。

 

草負けやダニアレルギーにはペットに触れることが重要!?

こちらはアウトドア・インドアにおけるアレルゲン反応を「皮膚プリックテスト」で調べたもの。いわゆる「草負け」や「ダニ」などに対するアレルギー抵抗性です。こちらも犬を2頭以上買っている家では極端に少ないことがわかります。

 

気管支喘息にもペットがいることが効果的

こちらは気管支喘息の羅漢率を調べたもの。こちらもやはり、犬を2頭以上買っている家では、メサコリン気道反応性において大きく差があります。気管支喘息の割合も有意差があります。気管支喘息は、肺に到達するまでの空気の通り道(気道)に炎症がおこり、その結果、気道がまわりの刺激に対して過敏になり、ぜーぜー(喘鳴)、咳、呼吸困難といった症状がおこる病気です。喘息の最大の原因の一つに、ハウスダスト、ダニ、イヌやネコの毛、カビなどのアレルゲン(アレルギーの原因物質)があり、気道過敏性検査(メサコリンという気管支を収縮させる薬を吸って喘息かどうかを確かめる検査)で喘息かどうかを確実に診断することができます。

※喘息のもう一つの原因は、姿勢変化にともなう気道(気管)の閉塞です。猫背や反り腰でも同じような症状が起こるので、気管支拡張剤などを使う前に、姿勢を良くすることも大切なのです。これについては「YOSHIRO SOCKS」や「ひろのば体操」を行うことで改善する方も多くいらっしゃいます。

【メサコリン気道反応性:気道過敏性】
喘息や咳喘息といった病気の疑いがあるとき、あるいはそれらの病気の評価(改善しているかどうかを判断する)のためにおこなわれます。方法は、気管支に刺激のある薬剤(当院ではメサコリンを使用)を希釈して、普通の人では反応しないような薄い濃度から段階的に濃度を上げてゆきます。濃度を上げるたびに息の通り具合(勢いよく息を吐いた時に1秒間でどのくらい息が吐けるか=これを1秒量といいます)をチェックします。薬剤を吸う前の1秒量を100%とした場合、これが80%を下回ったら検査終了です。

 

アトピー性皮膚炎はペットと過ごすことで激減する!?

ペットなし家庭の子供は33.6%ペット1匹家庭の子供は34.3%がアトピー性疾患に罹患していたのに対し、ペットが2匹以上いる環境で乳児期を過ごした子供では、アトピー性疾患の発症率が15.4%と有意に低かった(p=0.05)。喘息の発症率も、ペットが2匹以上いる家庭の子供で低い傾向がありました。興味深いのは、ペットが2匹以上いる家庭で育った子供の場合、犬や猫だけでなく、花粉やカビなど他の抗原に対しても他の子供より抵抗性があったというもの。研究グループは「免疫系が成熟する時期に複数のペットと触れ合うことで、様々な抗原に対するアレルギー性反応が抑えられるのではないか」と推測している。この研究は、米国で行われたコホート追跡調査「Childhood Allergy Study」の結果で、Journal of American Medical Association(JAMA)誌8月28日号に掲載された。

病院では治らないとされた尋常性乾癬も改善!?

尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)とは、乾癬の一つで慢性の皮膚疾患です。 皮膚に赤い発疹(ほっしん)が出て厚く硬い角化が起き、鱗屑(りんせつ)というフケのようなものがはがれ落ちます。残念ながら、現在ではまだ根本的な治療方法は見つかっていません。Tさんもその一人で、色々な病院を受診して治療をしていました。

ある病院では「もう方法はありません」「一生病気と仲良く付き合っていきましょう」と言われ、漢方専門病院では鍼治療・食事療法に加えて漢方薬を処方され治療費が高額に。それでも治したい一心で通い続けましたが、皮膚の状態はほとんど変わりませんでした。

すがる思いで足指研究所にいらっしゃった時には、皮膚はタダレ落ちるような状態が全身にありましたが、「ひろのば体操」や「YOSHIRO SOCKS」や「正しい靴選び」で姿勢を正し、自然と触れ合うことをやってもらいました。わずか数ヶ月で皮膚はすべすべの状態に。これまで土に触ることを避けてきたTさんでしたが、土には皮膚を守るために必要な微生物がたくさん存在しています。みなさんも、まずは土に触れてみることから始めてみませんか?

湯浅慶朗(YUASA YOSHIRO)
足指研究所 所長
理学療法士、足指博士、足指研究所 所長。ハルメク靴の共同開発者。東京大学で研究を行う。

病院で理学療法士として高齢者医療(リハビリ)に携わる。現代医療のあり方に疑問をもち、病院を退職。妻のO脚改善をきっかけに足指の研究に入る。一生歩き続けられる体をつくる「ひろのば体操」を考案。西日本新聞連載「お茶の間学・足指伸びてますか~」(全22回)が人気となり、NHK「サキどり」「ガッテン」などで足育として取り上げられ、大きな反響を呼び、足指研究所で足腰の相談に乗るほか、病院の再建をはじめ、一般や学生、児童向けの講演活動を行っており、日本国内だけでなく、ニューヨークやバンコクなど、世界各地を飛び回っている。

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