腰痛の原因は椎間板ヘルニアではない。答えは足指にある

腰痛の原因が椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症ではないのに、そう診断されている人は実に多くいらっしゃいます。私が実際に患者さんを治療した実感では、9割以上の腰痛の原因は別のところにあります。本当の原因を直した結果、腰痛がウソのように簡単によくなった方はたくさんいらっしゃいます。

現代医学では腰痛の原因は不明です

長年腰痛の犯人は、椎間板ヘルニアだと多くの医師や患者が考えてきました。「ためしてガッテン」でも過去ヘルニアが腰痛の犯人だと言い続けてきたが、大誤解であったという番組がありました。現代医学では痛みの原因は「原因不明」と結論づけられています。10年前の医学情報と今の医学情報では全く異なり、常に点々としながら模索を繰り返しているのです。一貫性のない医学に疑問を持つ方も少なくはないと思いますが、結果が出ているのであれば一貫性があり、今も昔もやり方は同じはずなのです。以前ブログで書いたこちらの記事も参考にされてください。

 

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テレビに出演されていたAさんは、以前からぎっくり腰を繰り返していたが、あるときくしゃみがきっかけで、酷い腰痛と痺れになってしまった。今回も一週間ほど寝ていれば治ると思っていたが、痛みがますばかりで、いっこうに治らない。病院へ行きMRI検査を行うと、椎間板ヘルニアと診断された。医師から緊急手術を勧められ、飛び出した椎間板を切除してもらった。手術は成功し、飛び出ていたヘルニアはきれいに切除することができた。しかし、腰痛は治まらずしばらくは車椅子生活を余儀なくされた。術後5年経った今でも腰痛に悩まされ続けている。手術しても痛みが治まらない。納得がいかないAさん。

 

画像診断には痛みの原因は出ない

番組では、腰痛になりやすい職業30~70歳台の人15名に集まってもらい、調査を行った。15名全員に腰のMRI検査を受けてもらった。診察してくれたのは、慶応病院整形外科の松本守雄先生。全員のMRI画像を見ながら松本先生は、明らかに椎間板ヘルニアの症状が出ている人が15名中2名おり、11名がヘルニア予備軍と診断された。不思議なのは、明らかにヘルニアの状態となっている2名のAさん、Bさんは、腰の痛みを感じていなかった。他の予備軍の11名も腰痛はない人達だった。つまりMRIによる画像診断はほとんど無意味であるということ。

 

ヘルニアは自然吸収されていくものなので手術は必要ない

松本先生は、130名の腰痛のない人を調べた結果、80%の人に椎間板変性があることがわかった。「腰痛の原因は椎間板ヘルニアだけではない。」と仰います。ここで新田さんという別の証言者が登場する。新田さんは病院の看護士をやっているが、2年前から腰痛になり、MRIで椎間板ヘルニアと診断された。一ヶ月間仕事を休まなければならないほどひどい腰痛となった新田さんは、手術に抵抗感があり、痛み止めを飲みながら様子をみることにした。半年後、MRI検査をしてみると、何とヘルニアが消えていることが分かった。痛みも完全ではないが、小さくなってきていた。白血球の一種であるマクロファージがヘルニアを異物と判断して攻撃し、ヘルニアを小さくしてくれていることが分かった。

 

麻痺の症状があれば手術は必要

詳しく解説してくれたのは、愛知医科大学 牛田享宏教授。牛田教授によると飛び出した椎間板をマクロファージが小さくしてくれるのは、稀なケースではなくて結構多いらしい。個人差はあるが、ヘルニアが大きいほど、マクロファージが異物と認識しやすくなるので、小さくなる確率は高くなるそうだ。手術をした場合としなかった場合の痛みの変化を調べた結果、2年経つと殆んど差がなくなるということが分かった。ここで誤解をしてはいけないのは、腰痛があっても手術が不要というわけではなく、必要な場合があるので要注意である。

 

原因不明というのは画像診断に頼りすぎて筋肉や関節を見ていないだけ

椎間板ヘルニアによる腰痛は腰痛全体の5%しかなく、原因が不明というものが85%。これは私も同感ですが、85%が原因不明であるという原因は「医師が画像診断に頼りすぎて、筋肉や関節の状態を見ていない。もしくは筋肉や関節の状態を見ることができないというのも盲点だと思います。仙腸関節を専門として治療を行う片田医師も同じことを述べています。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/40164

 

腰痛医学の歴史では、20世紀半ばに椎間板ヘルニアが発見されて以来、半世紀にわたって世界中で椎間板ヘルニアの研究がなされ、椎間板こそが腰痛の原因だと誰もが信じてきました。医学の教科書、多くの腰痛本にそう書かれています。この定説にさらに拍車をかけたのが1990年代に普及したMRI(核磁気共鳴撮像法)です。「椎間板の変形」がみごとに撮影できたため、これが腰痛の原因だと〝画像信仰〟を加速させました。ここに腰痛治療の落とし穴があったのです。21世紀になると、ようやく腰痛の常識が変わり始めました。目に見える画像だけに注目して腰痛治療を考えること自体が間違いだったという声が海外でも高まりつつあります。

 

腰痛の本当の原因

仙腸関節のズレが腰痛の原因であることは、私も60,000人の方の治療をしてきてわかっています。しかしここで疑問なのは、なぜ仙腸関節がズレてしまうのかということ。その疑問は「足指」と「姿勢」に隠されていました。難治性・複雑性関節炎という方は特に姿勢が悪い方に多いです。どんなにAKAの手技をマスターしていても姿勢の悪い状態では動くものも動かないのです。

私もAKA博田法を習得して、AKA専門クリニックで1日30人ほどの治療にあたっていました。驚くほど治療成績は良いのですが、100%ではありません。良くならない方は何が原因なのかを試行錯誤しながら探って行きましたが、足指に対してアプローチを行い足裏バランスを良くしていくと、再発率が低く、難治性の方や複雑性関節炎の方もスムーズに改善して行きます。

最近ではAKAを行わなくてもセルフケアのみで仙腸関節を動かすことができることも判明しました。神の手と言われるAKAですが、自分自身がどんなに神の手であっても死んでしまえばお困りの方を救うことはできません。そのためにいつでも・どこでも・誰にでも・簡単にできる方法を開発していったのです。それが「ひろのば体操」であり「Yoshiro Socks」であり「湯浅式インソール」なのです。Yoshiro Studioでは「3種の神器」とも言われていますが、本当にシンプルでスマートです。

湯浅慶朗(YUASA YOSHIRO)
足指研究所 所長
理学療法士、足指博士、足指研究所 所長。ハルメク靴の共同開発者。東京大学で研究を行う。

病院で理学療法士として高齢者医療(リハビリ)に携わる。現代医療のあり方に疑問をもち、病院を退職。妻のO脚改善をきっかけに足指の研究に入る。一生歩き続けられる体をつくる「ひろのば体操」を考案。西日本新聞連載「お茶の間学・足指伸びてますか~」(全22回)が人気となり、NHK「サキどり」「ガッテン」などで足育として取り上げられ、大きな反響を呼び、足指研究所で足腰の相談に乗るほか、病院の再建をはじめ、一般や学生、児童向けの講演活動を行っており、日本国内だけでなく、ニューヨークやバンコクなど、世界各地を飛び回っている。

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