第19話|スリッパを脱いで
スリッパを脱ぐだけで外反母趾が改善
畳からフローリングヘと変わる日本の家屋。ただ、フローリングは足触りが固く、冬に底冷えもするので、素足で過ごす方は少ないようです。YOSHIRO STUDIOに来院される膝痛や腰痛の方に聞くと、室内でスリッパを常時履いている人のなんと多いことか。
最近では布草履やサンダルなんて方もおられます。スリッパなど足指が自由に動くのでよさそうに思えますが、ひも靴のように足と履き物が固定しないため足が滑り、踏ん張ろうとして指が曲がります。指が曲がると足首が固くなってすり足になり、足裏の筋力が低下します。
それだけで室内のつまずきの原因となることは、今までお伝えしてきた通りです。外反母趾の付け根の悩みで来院された60代女性のHさん。仕事では常にひも靴で、パンプスを履くことはありません。靴のサイズは適切だし、外出も少ないので靴の影響はないと考え、室内でスリッパを履くのをやめてもらいました。
すると3週間後には外反母趾が改善。痛みもすっかりなくなりました。
スリッパを履いた後のレントゲン写真
私たちの研究で、スリッバを履いた状態と素足の状態を比較したエックス線写真があります。同じ足なのにスリッバを履いただけで指が曲がり、外反母趾、内反小趾になっていることが分かります。
仕事でバンプスやヒール、家ではスリッパ。これでは足の休まる時間がありません。細い靴を履いて外出していなくても、女性だと炊事や家事の時間が一日3時間を超える方もおられるでしょう。そのときスリッパを履いていたら…。
室内ではまず、スリッパの類は履かずに過ごすことをお勧めします。炊事のときは床にマットを引くなど工夫をしてみてください。それでも足元が冷える場合、レッグウォーマーを指先が少し出るくらいまで下ろして、足指が自由に使えるようにしてみてください。
長時間使用するということが足にとって弊害となるので、トイレの中や廊下を移動する際にはスリッパを履いても良いと思います。どうしても床の汚れなどが気になる場合、しっかりと留めのある(足首や足の甲を固定する折り返し付きのマジックテープや留め具のついたストラップ)サンダルを履くことをお勧めします。
鼻緒のついた草履など親指がまっすぐになって良さそうに思えますが、他の指は屈めてしまうことが多いので、外反母趾が進行してしまうこともあるので注意してください。