第22話|「足育」を広げよう

本連載も今回で最終回となりました。皆様の温かい励ましによってここまで連載を続けることが出来、心よりお礼申し上げます。毎週読んでますよ、と患者様から声をかけられることも増えました。

自分の足で行きたいところにいけるって素晴らしいことですね。エレベータを探さなくなりました、トレッキングを再開しました、なんて声を聞くとこちらも嬉しさが倍増します。転倒骨折による経済的損失は一兆円になろうかとしています。足育によってそれを少しでも減らすことが出来れば、本人も、家族もそして日本も幸せになります。灯台もと暗し、その答えは文字通り足下に転がっていました。

本連載には皆様の知っていたこととは違う内容もあったことでしょう。私も足指や足の働きを勉強したての頃は少し戸惑いました。でも、足指のことを理解すればするほど違っていていいのだと分かりました。顔の形が一人一人違うように、足指の形も生活習慣も千差万別。だから治療のアドバイスも多種多様になります。その最初の一歩が「ひろのば体操」です。

私が連載で一番伝えたかったことは、「自分の体は自分でよくできる」ということです。

ちょっとした生活習慣によって体の使い方を悪くしているということを知れば、ほんの少し生活習慣を変えるだけで自然と体は元に戻るようにできているのです。

私自身の体を良くするまでには1年半かかりましたが、連載では重要なポイントだけをお伝えしましたので、そのポイントさえ押さえればより早くゴールにたどり着けるのではないかと思います。

足指を広げて伸ばすことはリハビリテーションの枠組みを超えて様々な可能性を感じるようにもなり、保育園や歯科医院など様々な分野で展開を見せつつあります。

私の足指も、はじめは広がるどころか、満足に動かすことが出来ませんでした。続けていくうちに、自分の足腰の悩みが軽くなっていきました。保育園での調査も継続していますが、園児達の運動能力はもちろん、落ち着きや協調性も向上している様子は目を見張るものがあります。

まだまだ私も未熟者、だからこそ諦めずに取り組んでいきます。皆様もいつまでも元気に歩けるために、これからも足指をしっかり伸ばしてくださいね。

湯浅慶朗(YUASA YOSHIRO)
足指研究所 所長
理学療法士、足指博士、足指研究所 所長。ハルメク靴の共同開発者。東京大学で研究を行う。

病院で理学療法士として高齢者医療(リハビリ)に携わる。現代医療のあり方に疑問をもち、病院を退職。妻のO脚改善をきっかけに足指の研究に入る。一生歩き続けられる体をつくる「ひろのば体操」を考案。西日本新聞連載「お茶の間学・足指伸びてますか~」(全22回)が人気となり、NHK「サキどり」「ガッテン」などで足育として取り上げられ、大きな反響を呼び、足指研究所で足腰の相談に乗るほか、病院の再建をはじめ、一般や学生、児童向けの講演活動を行っており、日本国内だけでなく、ニューヨークやバンコクなど、世界各地を飛び回っている。

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