第11話|中敷で理想の足形

オーダーインソール

靴が車のボディとしたら、中敷(インソール)はエンジンともいえます。排気量が大きければスピードも出るし、快適に走れます。普通のインソールが軽自動車とすれば、オーダーインソールは大型自動車くらいになります。足にとってはどちらでも走ることはできますが、大排気量の方が長距離運転で威力を発揮します。アウトソール(靴底)はタイヤ、シャンクはボディシャシ、シートはヒールカウンターと同じ役割です。全てにこだわれば、とても快適に歩くことを可能にしてくれます。

私が作るのは、矯正用にその人の足形に合わせたオーダーインソール。作成するときは、余計な筋肉の緊張が生じないようにリラックスした姿勢で足裏の型どりをします。立位で内側アーチ(土踏まず)に負担がかかり骨格がゆがんだ状態より、より理想の足形になると考えるからです。

型どりした後は、足型から足底筋の状態、かかとのねじれ具合、アーチの状態や左右差による全身のゆがみなどを検査して行きます。手と同様、足にも利き足があるのですが、利き足の方がよりねじれや変形が進行している場合がほとんど。骨の並びには異常がなくても、アキレス腱の太さやふくらはぎのむくみ具合も違います。説明するとその違いにみなさん一様に驚かれます。

インソールは、表皮と同じように本体の素材も数種類用意。たこやウオノメ、足裏の脂肪量、入れる靴のかかとの深さなどを考慮して適切なものを選択し、使う人が意識しなくても、きちんと歩けるよう組み上げます。こうして作ったインソールを使うと、足指を全部使って歩いていることが実感できます。

オーダーインソールの作成時間は1時間程度。その日のうちに履いて帰ることができます。これは、わざわざ遠方からいらっしゃった方でもすぐに歩けるようにしたかったからです。ちなみに一番多い忘れ物は、なんと杖。みなさんその場でスムーズにるけるようになることが多いので、杖をついていたことを忘れ、スタッフが慌てて追いかけることもしばしばです。

目的は足本来の機能の回復

中敷は一生使うわけではありません。今の靴を履きやすくするためではなく、足指をより使いやすくするためにあります。いわゆるリハビリ中敷です。歯の矯正と同じように、足の歯列矯正を行うわけですから、足指がしっかりと伸びて、かかとのゆがみがなくなり、アーチが形成されればそこがゴールとなります。その時には矯正用の中敷が必要なくなります。

人により様々ですが、私の場合は中敷を3回ほど作り直して一年半ほどかかりました。今では外反母趾の痛みもなく、土踏まずも形成され、矯正用の中敷がなくても色々な靴が履けるようになりました。私たちの目的は足全体ので持つ本来の機能を取り戻すことになります。

そうすればこれまで履けなかったオシャレ靴なども履けるようになり、靴を選ばなくなります。足が悪いと履ける靴の種類が限られて、オシャレも楽しめず、人生そのものも楽しめなくなりますよね。女性の方には足を良くして、一生オシャレを楽しんでほしいと思います。

湯浅慶朗(YUASA YOSHIRO)
足指研究所 所長
理学療法士、足指博士、足指研究所 所長。ハルメク靴の共同開発者。東京大学で研究を行う。

病院で理学療法士として高齢者医療(リハビリ)に携わる。現代医療のあり方に疑問をもち、病院を退職。妻のO脚改善をきっかけに足指の研究に入る。一生歩き続けられる体をつくる「ひろのば体操」を考案。西日本新聞連載「お茶の間学・足指伸びてますか~」(全22回)が人気となり、NHK「サキどり」「ガッテン」などで足育として取り上げられ、大きな反響を呼び、足指研究所で足腰の相談に乗るほか、病院の再建をはじめ、一般や学生、児童向けの講演活動を行っており、日本国内だけでなく、ニューヨークやバンコクなど、世界各地を飛び回っている。

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