浮き指の症状と治療方法

 

目次

浮き指とは?

足指が地面に着いていない、もしくは足圧がかかっていない足の指のことを浮き指と言います。見た目上、地面から完全に浮いている人もいれば、足指自体は地面に接地しているけれど圧がかかっておらず、足指としての機能が発揮できていない方の方が多い傾向にあります。指先がそるので、正面から見ると爪が見えなかったり、他の指と違って上にそり上がったりしています。女性の7割くらいに浮き指があると言われ、浮指がよく見かけられるのは、親指と小指です。

浮き指の種類

親指の浮き指
小指の浮き指
 
その他の指の浮指

セルフチェック方法

親指の浮き指テスト
小指の浮き指テスト

足底圧測定器であれば一目瞭然ですが、それ以外にもペーパーテストがあります。椅子に深く座った状態で膝を90度に曲げます。その状態で足指の下に薄い紙を敷き、足指で押さえます。裸足だと摩擦係数が高くて滑りにくくなるので、何か靴下を履いて行う方がベストです。この時に体を前かがみにさせたり、かかとを浮かせないように注意してください。そしてゆっくりと紙を引いていきます。もし簡単に紙が抜けるようであれば「浮き指」と判断します。全ての足指で試して見ましょう。

隠れ浮き指のチェック方法

普段は指が地面についていても、圧がかかっていない状態も浮き指と言います。基本的には500gの圧が1本の指に必要だとされています。これは見た目では判断しにくいため、足底圧測定器を使って測定する必要があります。保育園での6歳児の浮き指調査では、ほぼ100%の園児が浮き指という結果でした。

 

足底圧測定器(TRUE FEET)
足指に圧をビジュアルで見ることができる
 

浮き指の原因

浮き指の原因は、靴下や靴の中での足の「滑り」です。靴下の場合は、ブカブカのサイズのものや滑りやすい素材が要因となります。靴の場合には、大きすぎる靴や紐を緩めにしていることが要因となります。また、固定するものがない履物であるスリッパ、つっかけ、長靴、下駄、草履、サンダルなど足と履物を固定するものがないものを履き続けることでも起こります。そのほかにもリウマチによる変形などがありますが、よくよく話を聞いていくと、靴の履き方の問題が大きいと感じました。

 

 

浮き指の割合

浮き指の子どもたちが増えてきて、足指を使わないために土台である足が不安定となっています。足が発達してはじめて姿勢も発達していくため、姿勢を良くするためには足指がすべて地面についている必要があるのです。しかし実際の保育園調査では、足指の接地率は9%以下という結果で、平均すると10本中の1本も地面についていないということになります。浮指率が100%であり、現代の子どもたちがいかに足指を使って歩けていないかがわかると思います。

・A保育園:9%(10本接地していれば100%:1本あたり10%で計算)

・S保育園:7%(10本接地していれば100%:1本あたり10%で計算)

 

浮き指になるとどうなる?

 

かがみ指になると、立った時に「踵重心」になります。指の付け根からかかとまでの距離が短くなるためです。理想的な重心割合は前方に60%、後方に40%と言われていますが、浮き指の方は前方に30~40%、後方に60~70%の体重が乗ります。

 

そうなると踵だけでバランスをとるような形になるので、上体を反らせたり(反り腰)曲げたりして(猫背)バランスを取ろうとします。姿勢反射とか立ち直り反応と呼ばれる体に備わった機能の一つです。そしてその状態が慢性的に続くと背中や腰の筋肉が過緊張を起こしたままとなるので、腰痛や首こり、肩こりを起こすようになります。ストレートネックと呼ばれるものもこれが原因です。

症状

・足首の痛み
・膝の痛み
・股関節の痛み
・首コリや肩こり
・難産
・不良姿勢
・口呼吸や低位舌
・歩行障害
・運動機能の低下

中高年者から高齢者にかけては、関節の機能が低下して日常生活に支障をきたし、日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)の低下が見られます。中には歩行障害によって車椅子や寝たきり生活になる方もいらっしゃいます。

ADL(activities of daily living)とは
日常生活を営む上で普通に行っている行為や行動のことを日常生活動作(ADL)といいます。具体的には、食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴など生活を営む上で不可欠な基本的行動を指します。基本的日常生活動作、日常生活活動とも言われる。コミュニケーション能力を指す場合もある。
 
 
QOL(quality of life)とは
「生活の質」とも言いますが、ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質のことを指し、人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念です。「life」には生活という意味だけではなく、生命、生涯、暮らし、人生など幅広い意味があります。

 

診断

欧米においては、浮き指は「Floating toe」と表現されています。Floating toeとは,第3関節が不安定なことによる屈筋力の低下であると述べてられています。しかし、Floating toeの足趾機能や、身体への影響について言及している報告は見当たらないのが現状です。日本においても、欧米においても、浮き趾の足趾機能やバランス能力、歩行の特徴、身体への影響等について、具体的な研究データをもとにして、浮き趾の問題を提示されていないことが、医学的に一般化されない原因でもあり、「浮き指」という診断名はついていません。

治療

医学的な治療方法は現在のところ明確にされていません。しかしほとんどの場合、セルフケアによって95%以上の方が浮指を改善させています。

 

浮き指を放置するとどうなるのか

浮き指は必ず痛みがあるわけではないので、変形していても放置している方がほとんどです。しかし90%以上の方が徐々に変形が進行し、膝や腰、背中の痛みまで誘発します。できるだけ早期に適切な治療を受けることが大切です。重症になると、指が浮いたまま関節が硬くなり、かかとや指の付け根にタコや魚の目ができます。さらには歩き方がぎこちなくなり、歩行障害によって車椅子や寝たきりになる方もいます。

 

腰痛や膝通のリスクが増加

浮き指になると、指先で踏ん張ることができなくなるため、踵重心になります。歩くときに踵歩きになるため、足裏ので衝撃を吸収できなくなり、その結果、腰痛や膝痛のリスクが増します。小指や親指の浮き指になると、X脚やO脚の原因にもなるので、その結果、ひざ痛のリスクがさらに増加します。

 

転倒の危険性が増加

足指が浮いてしまうと、つまづいたときに指先でしっかりと踏ん張ることができなくなります。踵重心のままでは、体が本来の力を発揮できるようになるのです。また、後方に倒れやすくなるため、転倒の危険性が格段に上がってしまいます。浮き指を改善させることは、踏ん張る力がアップするため転倒予防につながるのです。

 

肩こりになるケースも

浮き指になると、重心がかかとへ移動し、バランスを取るために猫背や反り腰になります。猫背や反り腰になると頭の位置が前へ移動する(ストレートネック)ため、頭を支えている僧帽筋の負荷が増します。その結果、肩コリが生じることとなるのです。

 

太りやすくなる

「浮き指になると太る」などと書かれているケースがありますが、それは本当です。これまで多くの雑誌にも執筆してきましたが、浮き指になると、つま先で地面を蹴ることがなくなるため、ふくらはぎの筋力が低下します。ふくらはぎは「第二の心臓」ともいわれ、下半身の血流に大きく関係しています。ふくらはぎの筋力が低下すると、下半身の血液や体液を上半身へと送り返す力が低下するため、足がむくみやすくなったり、基礎代謝が落ちてしまいます。その結果、足が太く見えたり、太りやすい体質を作ってしまいます。

 

口呼吸にもなる

最近のお子さんにも増えてきていますが、姿勢が悪くなることで、頭の位置が前方にスライドします。頭の位置が前方にスライドすると、顎の下についている筋肉が引っ張られてしまうので、つられて下顎が引っ張られることで口が開いてしまうのです。理学療法の世界では「反応性の開口」とも言われています。鼻からの空気の通り道である「上気道」も狭くなるので、鼻だけの呼吸では酸素の量が足りないため、口で呼吸してしまうということにもつながります。

 

歯並びにも影響する

歯がきれいに並ぶ条件は、顎が本来の大きさまで成長することにあります。ところが姿勢の問題で、歯列の周りの筋肉が硬くなったりすることで顎の成長を妨げてしまうのです。低位舌も姿勢の問題で起こるのですが、ベロを前に出すクセで出っ歯になったりすることもあるため、足指と姿勢と歯並びは全てつながっているのです。

 

セルフケアで関節の機能を回復させる

「浮き指」は、これまで治療方法が確立されておらず、民間の治療院は対症療法であるため、根本的に治ることはありません。正確には私が病院での治療だけで治ったという方を1人も見たことがないという意味です。

大切なことは、浮き指の明確な原因を理解した上で、継続的にセルフケアを行っていくことで、症状の緩和や変形の改善を目指すことが可能です。足指の変形なので、足指に原因があると考えがちですが、実は足指が原因ではありません。そこには「靴下の素材」「靴下の形状」「靴の種類」「靴の履き方」という原因があり、結果として「浮き指」という変形を起こしているだけなのです。

「靴下」や「靴」という根本原因があり、十分にセルフケアで改善できるものなのです。その基本となるのが「ひろのば体操」と「YOSHIRO SOCKS」なのです。下記サイトに詳細に記載しているので、1日1回を目安に継続してみましょう。早ければ3週間ほどで効果が出てきます。

ひろのば体操

 

YOSHIRO SOCKS

 


 
その他にも、浮き指を予防することができるエクササイズなどを紹介したいと思います。

小股でウォーキング

浮き指を改善する簡単なエクササイズが、小股でウォーキングすることです。小股で歩くと、自然に地面を強い力で蹴りだすことができるので、足の指のつま先を使う感覚が磨かれます。

 

爪先立ち

爪先立ちは、足指の筋力を効率的に鍛えることができる運動です。脚やせ効果も期待できるので、ぜひ取り組んでみてください。

  1. 両足をまっすぐ平行に、肩幅の広さに開きます
  2. かかとを上げてつま先で立ちます
  3. 指の付け根で立つのではなく、指先で立つ感覚で立ちます
  4. 1秒で上げて1秒でおろす。これを1分間繰り返します

本来、爪先立ちはふくらはぎを鍛えるためにおこなうものですが、浮き指の改善にも役立ちます。

 

浮指にならないための日頃からの工夫

浮き指のほとんどは靴の種類・履き方・選び方、靴下の種類など生活習慣によるものです。そこで、浮き指にならないための、日常生活におけるちょっとした工夫を紹介したいと思います。

 

5本指ソックスを履く

浮き指を予防するためには、5本指ソックスを履くのがおすすめです。なるべくフィット感のあるものにしましょう。少し歩いただけでズレてしまうようなものだと、靴下の中で足が滑ってしまい、浮指になってしまうことがあります。素材にもよりますが、通常の靴下と比べ、足の指を意識することができるので、指先で踏ん張る感覚が磨かれます。

家の中では素足で過ごす

家の中では素足で過ごすことも、浮き指の予防につながります。家の中でスリッパや靴下を履いていると、指を浮かせて脱げないようにして歩いてしまうため、浮き指の原因となってしまいます。家の中ではなるべく素足で過ごすようにしましょう。

子どもは外では素足で遊ぶようにする

浮き指の原因として、長時間の靴や靴下の装着にも原因があります。1日2〜3回は靴を脱いで指をノビノビさせる機会を作りましょう。特に、外ではだしになって遊ぶことで、効率的に足裏の筋肉を鍛えることができます。将来の浮き指を予防するためにも、子供ははだしで外でしっかり運動させるようにしましょう。

 

浮き指の改善例 Case.1

 

浮き指の改善例 Case.2

 

ほかにも浮き指の改善した方の写真を掲載しています。

浮き指の症例

 


【参考文献】

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