第10話|靴の中敷の素材も大事
汗と熱と滑りが大敵
靴の素材で革といえば、何を思い浮かべますか。やはり革靴などの外装ですよね。靴という漢字から見ても、もともと革製品だったのでしょう。皮は毛などが付いた状態、革はそれをなめしたものですが、私はこの革を靴の中敷(インソール)に表面に使います。
吸湿性
理由の一つ目は吸湿性。足裏は手のひらと同様、滑らないように汗腺が発達し、よく汗をかきます。靴を1日履いている時にかく汗の量はコップ一杯ほど。これをうまく逃さないと蒸れの原因になり、水虫や悪臭の心配が出てきます。その点、なめしのよい本革はしっかりと汗を吸うので、蒸れが少ないのです。
摩擦熱
二つ目は摩擦熱。表面が化繊や合成皮革のインソールを取り出して、指の先で体重をかけて強く押しながら10回ほどこすると、かなりの熱で熱くなります。でも本革は、強めにこすっても熱を吸収して熱くなりません。歩くたびに、足裏や指はインソールにこすりつけられるわけですから、上手に熱を逃さないと靴擦れしてしまいます。
滑り
三つ目は滑り。高級で見た目の良いツルツルした革は、インソールに不向きです。人の肌に最も近いとされる豚皮の表皮の場合、シボと呼ばれる肌目があり、ほどよい摩擦が生まれて特に滑りにくいのです。足の滑りは指の変形を招き、ひざ痛や腰痛の原因になりますから、滑りを防ぐことは痛みの改善には大切です。もちろんインソールそのものの形状も足裏を支えるのに重要です。ただ、その表面素材にまで心を配るとより良いものになります。
足指の機能が改善
関節リウマチで、足指関節の脱臼もあったAさん。本来なら手術が必要なくらい変形し、歩くのも大変そうでしたが、正しい靴を選んで矯正靴下を履き、適切なインソールを作って1ヶ月。素足の形状に劇的な改善は見られなかったのですが、「ひろのば体操」で足指が動き、開くといった機能面が改善した結果、1人で海外旅行に行けるまでになりました。
臨床の現場から見ると、足指の形状と同様に機能面の改善もまた大事です。
豚皮インソールの作り方
こちらの動画では豚皮を使ったインソールのカスタマイズ方法について説明しています。ご参考になれば幸いです。
ひろのば体操
足指を広げて(=ひろ)伸ばす(=のば)、足指と足のストレッチのこと。左右の足を合わせて1日1回、5分もやれば効果があります。
YOSHIRO SOCKS
足指専門の理学療法士として積み上げてきた20年間の知識や経験を生かし、足指を広げて伸ばす靴下を開発。人間本来の姿勢や運動能力に戻します。