パンプスやハイヒールを履きながら外反母趾を治す方法とは?

目次

時代遅れな外反母趾の原因

靴に当たって炎症を起こすというのは本当なのか?

外反母趾とは、簡単にいうと「足の親指が小指のほうに向かって20度以上曲がってしまう病気」です。病気というと怖いイメージですが、明確な原因があるので、適切なケアを行なっていれば予防・改善はそれほど難しくありません。

ほとんどの整形外科では、「親指の付け根の関節が突き出しているので、靴に当たって痛みや炎症を起こします。」と言われると思います。確かにレントゲン写真を見てみると、親指の付け根の関節が突き出ていることがわかります。

イメージ的に、この突き出た関節が靴に当たって痛いんだろうと思われがちで、関節部分が靴に当たらないようにと、病院でも靴屋さんでも「幅の広い靴」を勧められると思います。ところが幅の広い靴を履くことが原因で、突き出た関節がさらに炎症を起こすことはまだ世の中には知られていないことが現状です。

実は、突き出た関節が炎症を起こす原因は「靴の中で足が滑っている」ことにあるんです。関節が赤くなることと、炎症を起こして痛みが出ることは全く別問題なのです。

突き出た関節の部分が炎症を起こして痛みがあるのであれば、靴の中で足が滑らないようにするために、最低限として次のことを実践すれば、痛みは即日〜2週間以内には治っていきます。

  • 靴紐をしっかりと締める
  • パンプスは踵が抜けないサイズを選ぶ
  • 中敷を豚革・マイクロファイバー繊維など滑りにくい素材のものに変える
  • スリッパ・サンダル・ぞうり・ゲタ・長靴などを長時間履かない
  • ひろのば体操で足指の機能を高める
  • 滑りにくい素材の靴下を履く(YOSHIRO SOCKS推奨)

外反母趾になりやすいのは足の形のせい?

人間の足の指の形には「エジプト型」「ギリシャ型」「ドイツ型」「ケルト型」「ローマ型」と5種類あります。その中でも、日本人に主に見られるのは「エジプト」「ギリシャ」「ドイツ」。

日本人にもっとも多い(70~80%の人)のは「エジプト型」で、親指が最も長く、続いて、人差し指、中指、薬指、小指と順番に短くなっていくのが特徴。親指が一番長い形の人は外反母趾になりやすいと言われていますが、それは親指が靴の先端に当たって圧迫を受けやすいからです。

これは本当なのでしょうか?

実際には、靴の中で親指の先端が圧迫されるほどの靴を履くことはほとんどありません。試し履きのときに親指が圧迫されていれば違和感を感じるので、ほとんどの人はサイズをアップするからです。

多くの方は実際の足のサイズよりも5mm〜10mmほど大きめの靴を履いていると思います。パンプスは幅こそ細めですが、踵が抜けないサイズでも親指の先端部分にはゆとりがあるような構造になっています。

ではどうして親指の先端があたるのでしょうか?

それは「靴の中で足が滑って、歩くたびに親指が靴の先端に当たっている」からなのです。これはスニーカーでもパンプスでも同じ。外反母趾になありやすいのは、足の形や、靴のサイズというよりも、「靴の履き方」にあるんです。

パンプスやハイヒールを履く人は外反母趾になりやすい?

一般的に病院でも靴屋さんでも、「どんな靴が親指を圧迫して外反母趾を起こすのでしょうか」と言いう答えは、「先が細い靴とかかとが高い靴」と答えます。

確かに先が細い靴は、親指を隣の指のほうに圧迫してしまいます。また、かかとが高い靴は、足が靴の先端に向かって滑り落ちるため、指先全体が靴の先端に押し付けられてしまう。そう考えるのは妥当かと思います。

ところが、パンプスやハイヒールを何十年も仕事で履いてこられた方の中には、外反母趾どころか、親指がまっすぐな人がいるのをご存知でしょうか?私もその方々を見るまでは、にわかに信じがい事実でしたのでとても疑問でした。

パンプスやハイヒールを履いても、外反母趾になる人と、外反母趾にならない人には、何か決定的な違いがあると思い、よくよく観察を続けていました。すると、外反母趾にならない人には、たった1点だけ共通するものを見つけたのです。

それが「踵が抜けないジャストサイズのハイヒールを履いていた」ということ。なぜだろう?と観察を続けると、靴の中で足が滑らないので、足指がしっかり使える。足指を使って歩けるということは、足の筋肉が落ちにくいということなのです。筋力低下が外反母趾を引き起こすのは、下記サイトを参照してみてください。

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親指の付け根の関節にはたくさんのじん帯や筋肉があります。内側側副じん帯・母指内転筋・虫様筋・骨間筋などがあり、親指が人差し指の方向に曲がろうとする時に突っ張ってそれを防ぐ役割があります。普通の状態であれば、これらのじん帯や筋肉はぴんと張っていますが、靴の中で足が滑っていると、年齢とともに筋力が低下し、ゆるゆるの状態に。かかとを高くなったときにじん帯も筋肉も緩むため、親指が人差し指方向に曲がりやすくなるのです。

また、歩くときに踵がずれるサイズの靴を履いていると、ハイヒールなどは、かかとを上げることによって体重が指先の方にかかり、靴の狭い部分に指が押し付けられるようになります。こういった状態も外反母趾につながる原因となります。

病院での外反母趾治療は「現状維持」のため

外反母趾は必ずしも変形の度合いと痛みが比例しません。一般的に病院での治療は、変形の大きさに関わらず「痛い」と感じたら行います。日本にも足の専門外来が数多く設立されましたが、外反母趾のガイドラインに沿った治療となるので、おおよそ同じ治療方法となり、その治療の目的も「現状を維持するため」のものになります。

病院での外反母趾治療

・装具療法

・手術

・靴の指導

中には靴の指導を行う病院もありますが、「スニーカーを履きましょう」という指導のため、ハイヒールを仕事で履く方にとってはあまり参考にはならない場合が多いです。パンプスを履きながら外反母趾の改善を図りたいという方には、病院での既存の治療よりも、YOSHIRO SOCKS+ひろのば体操を自宅で実践することがオススメです。

YOSHIRO SOCKSで治った人!

また、外反母趾は重症化すると親指の関節が半分脱臼した「亜脱臼」という状態になり、この場合、放っておくとさらに変形が進行してしまい、私の治療で痛みの改善はできても、外反母趾の角度を変えることは難しくなります。

病院の一般的な治療は、外反母趾の改善に期待できるものではありません。外反母趾の新しい治療法、本当の原因についてはハルメクの連載に記載しています。こちらを参考にしてみて下さい。

外反母趾の予防

外反母趾は靴が原因なので、靴の見直しによって防ぐことができる病気であることは間違いありません。また、生活習慣の見直しや足に気を配りながら、ひろのば体操などを行っていただくことも予防につながります。ただ、数十年かけて外反母趾になった方は、足指の本来の機能を短期間で取り戻すことは容易ではありません。

ただし、パンプスを履きながら外反母趾を治していくことは可能です。そういう方には、寝ている時間もケアができる「YOSHIRO SOCKS」がオススメです。日中はパンプスを履いて、自宅に帰って足のケアを行なっていけば、思った以上の効果を得ることができます。外反母趾になりやすい人、外反母趾が気になり始めた人は自分の足に気を配って、重症化しないようにしましょう。

湯浅慶朗(YUASA YOSHIRO)
足指研究所 所長
理学療法士、足指博士、足指研究所 所長。ハルメク靴の共同開発者。東京大学で研究を行う。

病院で理学療法士として高齢者医療(リハビリ)に携わる。現代医療のあり方に疑問をもち、病院を退職。妻のO脚改善をきっかけに足指の研究に入る。一生歩き続けられる体をつくる「ひろのば体操」を考案。西日本新聞連載「お茶の間学・足指伸びてますか~」(全22回)が人気となり、NHK「サキどり」「ガッテン」などで足育として取り上げられ、大きな反響を呼び、足指研究所で足腰の相談に乗るほか、病院の再建をはじめ、一般や学生、児童向けの講演活動を行っており、日本国内だけでなく、ニューヨークやバンコクなど、世界各地を飛び回っている。

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