プロフィール

 

湯浅 慶朗_Yoshiro Yuasa

 

湯浅慶朗(ゆあさ・よしろう)
1977年生まれ、柳川リハビリテーション学院卒業、理学療法士、足指博士。専門は運動生理学。東京大学スポーツ先端科学研究拠点でも足指研究を行う。医療分野での加圧インストラクターとしても活躍。AKA博田法をさらに進化させたSJF (Synovial Joints Approach)を確立し、のべ6万人以上の治療実績を持つ。テレビ出演は『ガッテン』『美と若さの新常識』『サキどり』(NHK)他、著書は『足指を伸ばすと健康になる』(PHP)、『足指伸ばし』(マキノ出版)など多数。ひろのば体操の開発者でもあり、姿勢-咬合治療の開発者。

理学療法士として病院・介護施設・歯科医院などに勤務した経歴を持つ異色の足指研究家・YOSHIRO(湯浅慶朗)は、国家資格を持った本物のPTだからこそ美と健康のボディメイクに必要な筋肉や骨格のことをイメージ通りに描けるリアリティーと、自身の実体験がベースならではの「足指研究ストーリー」を、ご本人に語っていただきました。(by CHICA)

 

 


道具を使わない医療の構築方法を模索していた

――理学療法士から足指研究家への転身というのは珍しいと思うけれど、どのような経緯があったのか。

高校生だった頃の僕はいわゆる書道少年でして、ほとんど全精力を部活動に傾けていました。あるとき、ドキュメンタリー番組で理学療法士の仕事が紹介されていて、歩けなくなった患者さんを再び歩かせる理学療法士の仕事ぶりをテレビで見て、とても感動しました。それが、この仕事を選んだ動機です。当初の方向性としては書道家になることが頭にあったわけですが、理学療法士のことを調べていくうちに足の機能に関する興味が強くなり、リハビリテーションの専門学校に入学することになりました。

ところが、いざ現場で働き始めると、ことはそう簡単ではありませんでした。最初に入職したのは老人指定病院でした。高齢者ばかりですから、いわゆる難病を抱えている患者さんと関わることが多くなります。病気がどんどん進行していく。しかし、それを食い止める医学的手段が見つからない。理想と現実のギャップに悩まされました。リハビリを教科書通りに行っても、歩けるようになる人が少ないのです。

もちろん、治る人もいるのですが、治らない人がいるばかりか、リハビリをすることでかえって悪化する人もいました。セミナーや研修に参加して色々工夫してみましたが、答えはいっこうに見つかりません。ついには理学療法士として自信をなくし、勤めていた病院を退職してしまいました。このままでは医療費の増加によって、日本の財政は破綻するかも知れないと感じたのです。いったい、カラダが治る治らないの違いは、どこにあるのか−。別の視点から答えを見つけようとしていた私は、ふとしたことがきっかけで今の仕事をするようになったのです。


 

――足指を選ばれたのはなぜでしょうか。

実は、当初はリハビリテーションというよりは、結果さえ出れば方法は何でも良いと考えていました。現代医学もリハビリテーションも限界があるし、とにかく病院という世界を飛び越えた何かすごいものを手に入れたいという思いがあったのです。

ところが、何も探せないまま2年の月日が経ち、そろそろ限界かも…と思うようになっていて、再就職をはじめたところでした。ちょうどその頃に妻とも結婚が決まっていて、同棲を始めていたんです。これが人生の転機でした。ふとした時に妻の足元を見たら小指が浮いていたんです。

私は生まれて初めて足の小指が浮いている人を見た衝撃で驚きました。そこで私が渡したのが、履いた瞬間、足の踏ん張り力が変わったことがわかる、特殊な加工を施した5本指の靴下。すぐに妻に履かせると、「脚の内側に力が入る!」と言い始めたのです。

そんなことを1週間ほど続けたある日、お風呂場から叫び声が聞こえました。またゴキブリでも出たのかなと思って、お風呂場に行くと「膝が…膝がくっついてる」と興奮した妻が立っていました。実は妻は小学生の頃からひどいO脚で、長いスカートで脚を隠すくらいコンプレックスを抱いていたんです。ところが1週間前と比べると、明らかにO脚が改善していたのです。

たったこれだけで改善するなんて…。これを追求していけば、志半ばにして挫折してしまったリハビリでたくさんの人を救えるかもしれない、ということで足指の世界に飛び込んだわけです。私は必死に足指の機能について勉強を始めました。でも、教科書に載っていない未知の分野だったので文献もありません。それでも答えは患者さんの足にあると思い、足を見て、触り続けました。そのうちに足指をまっすぐに伸ばすだけで体が安定する人が続出したのです。

それが「Hand-Standing(ハンドスタンディング)理論」の発見にもつながったし、「ひろのば体操」や「YOSHIRO SOCKS」の開発にもつながりました。足の世界は面白いと思って、靴や靴下のことを勉強するために大阪にも3年ほど毎週のように通っていました。2008年には現在の「ひろのば体操」の原型が完成したのです。

 

足指研究家として成長していく

――Hand-Standing理論とは?

足指を広げて伸ばすことが重要だということは、臨床経験で分かったのですが、どういう原理かということまでは解明していませんでした。ある時、小学生の組体操を見ていたのがきっかけなんですが、バランスの良いこと悪い子がいたんです。「違いはなんだろう?」と観察していたのですが、単純に手の指が閉じていただけなんです。それで急いで家で逆立ちをしてみたのですが、手の指が閉じたり曲げたりするとバランスも悪くなるし、腕に力が入らずまっすぐ立てない。

足も同じことなんです。逆立ちした手を足だと考えれば全てがつながります。手=足、肘=膝、肩=股関節と考えて、手の指が閉じていれば肘も肩もひらいていきます。それと同じで足の指も閉じていれば、膝も股関節も力が入らずひらいていきます。結果として膝や股関節の変形につながるというわけなんです。

 

――理学療法士として足指をテーマに、患者さんに理解してもらう、その部分の難しさがあると感じました。

とても難しかったです。医学の世界はとにかく「結果に対するアプローチ」が多いと思います。そこに学生時代から違和感を感じていたのですが、例えば膝の軟骨がすり減っていれば「手術」や「ヒアルロン酸注射」ばかりで、膝が悪くなった「原因」を考えません。患者さんも膝が悪ければ膝の問題、腰が悪ければ腰の問題と考えている方がほとんどです。

もちろん手術や関節注射を行うことでADLやQOLが上がることは否定できません。起こったことに対する治療も大切と考えますが、原因に対するリハビリテーションを行うことで、治療と予防を融合させた再発のない革新的な医療を提供できると考えています。

私の考えるHand-Standing理論では、ひざ痛も腰痛も「足指」が原因と見立てているので、私は足指の説明ばかりをするんですね。最初の3年くらいは鼻で笑われたり、信じてもらえなかったりすることが多かったです。

当初、足指の研究をしている人はいないことや、この写真が信じられないということでNHKからの取材依頼があったのですが、実際に講演会で同じことをしたんです。放送後に大反響で再放送がすぐに決まり、それで信じてくれる人が一気に増え、医療現場でも足指に対する取り組みが始まったきっかけにもなりました。ようやく道がひらけたと感じた瞬間でした。

 

――ひろのば体操を開発する上での裏話、特に苦労した点などを教えていただけますか?

苦労は・・・たくさんしましたね。例えば、足指を押す場所、伸ばす時間、伸ばす方向、足の角度、手の形、最適なポジション、最適な強さ、日数などたくさんありますが、すべて一つ一つを比較対照実験しながら検証していきました。これが途方もない作業でした。

3年が経ってようやく「ひろのば体操」の形として完成した頃、保育士さんから子供達の運動能力についての保育園調査の依頼があって、ひろのば体操のデータを取るにはとても良い環境だと思いました。それで2年間の追跡調査をしたのですが、私も驚くほど運動能力や転倒予防に効果が出たんです。

それが新聞に掲載されて予約の電話が増えたのですが、3ヶ月待ちがずっと続いたんです。待ちきれない患者さんは「ひろのば体操」を自宅でやっていたらしいのですが、予約の日に来院されて一言「ひろのば体操を毎日やっていたら、膝の痛みが取れちゃいました!」って。こんなことが結構続いたんです。

お待たせしたのは申し訳ないと思いつつも、待たせてしまったからこそ「ひろのば体操」だけで、様々な症状が改善していくことも実証できました。

 

――ひろのば体操で良くなったら、ビジネスとしては成り立たないのではないでしょうか。

それは良く言われます。確かにビジネスにはならないので悩んだ時期もありましたが、でも私の夢は「医療に貧富の差をなくすこと」=「道具を使わない医療」を作り上げていくことなんです。お金があれば何でもできるのは当たり前。でもお金がないと健康になれないのかー、私はそうは考えません。お金がなくても健康になれて、世界中の人の「手」がゴッドハンドになり、誰もが真似できるようなカンタンな方法であれば、たくさんの人が幸せになれる。そのほうが私の人生は楽しいって思います。

医療の世界には数多くのテクニックが存在します。しかしそれはあくまで医療者が身につけるテクニックで、習得に時間もお金もかかる。確かに素晴らしいテクニックはあるのですが、身につけた人がいなくなればそれで終わりですよね。それでは意味がないと考えています。

「いつでも・どこでも・誰にでも・カンタン」にできるもの、かつ「カラダの本質的なもの」にアプローチするものでなければ意味がない。結果に対するアプローチではなく、原因に対するアプローチ。悪くなった部分は「結果」としての症状ですから、痛い部分を治療しても再発を繰り返すだけで、治療家のもとに通い続けることになる。そういうことではないんです。

足指は全ての基礎になる部分。それが医学からスッポリ抜けている。だから足指という分野を学術として広め、より治療成績の高いリハビリテーションを提供できるようにしたいことや、治療と予防を融合させた革新的な医療を提供したいと考え、独自の足趾機能評価法・姿勢分析法・「ひろのば体操」を後世に財産として残したいと思っています。

 

 

――最後に、お客様に対するメッセージを頂けますか。

私のところには、「歩けない」「正座ができない」といった切実な悩みを抱えた患者さんがたくさんいらっしゃいます。ひざや腰、股関節などの痛みを訴える患者さんです。専門医から「手術するしか方法がない」、あるいは「もう治療法がない」と言われている方も少なくありません。はじめは「もう歳だから」とおっしゃっていた80代や90代の患者さんも、ひたすら足指を広げることに取り組んでいくと、痛みが消えたり、歩けるようになったりします。歩けないことを「歳のせい」にして、あきらめてはいけません。また、病院で「治療法がない」と言われても、あきらめてはいけません。

足指を広げれば、何歳になってもカラダは変えられます。

「自分のカラダは自分で変えよう」という気持ちがある限り、必ず症状は良くなっていくと私は信じています。落ちこぼれ理学療法士が回り道をして知ったカラダの真実を、多くの方に知っていただき、足指を広げる「ひろのば体操」で人生を変えていただければ嬉しく思います。足指を広げて楽しい人生を送りましょう。

 

資格

理学療法士(physical therapist)

 

職歴

・クリニック附属フットケアセンター
(フットケアセンター長として提携)

・AKA専門クリニック
(AKA博田法習得)

・MRC認定歯科医院
(顧問)

・加圧トレーニング専門施設
(加圧リハビリ習得)

・医療法人紫泉会金隈病院

・社会福祉法人老人保健施設フラワーハウス博多

 

主な講演

・ニューヨーク大学
・九州大学
・旭化成株式会社
・フェニックス・シーガイア・リゾート
・宮崎県健康保険組合
・住友生命保険相互会社
・NHKカルチャー
・株式会社GC
・株式会社あさ出版
・株式会社西日本新聞
・株式会社ニチイ学館
・鳥取歯科医師会
・長野歯科医師会
・札幌歯科医師会
・明石歯科医師会
・柏崎市歯科医師会
・福岡県歯科医師会
・国際歯周内科学研究会
・福岡市保育士会
・飯塚市保育士会
・久留米市保育士会
・柳川市保育士会
・うきは市保育士会
・朝倉市保育士会
・柏崎市教育委員会
・うきは市教育委員会
・JA糸島
・株式会社ヨシダ
・福岡県立修猷館高校
・一般社団法人 足と靴の健康協議会
・東京都人材支援事業団
・歯科医院、保育園、小学校など多数

【海外講演】
・ニューヨーク
・バンコク
 

 

学会発表

2008年 日本加圧トレーニング学会

2011年 日本加圧トレーニング学会
「靴下療法との併用について」

2011年 日本転倒予防学会
「靴下療法について」

2011年 日本靴医学会
「靴下療法について」

2011年 日本健康医療学会
「靴下療法について」

 

医学専門雑誌

2014年 Journal of Physical Therapy

特集:外反母趾の機能解剖学的病態把握と理学療法を執筆

 

過去の共同研究

東京大学スポーツ先端科学技術拠点

国際医療福祉大学大学院
「転倒予防について」

福岡県筑後地方保育士会
「運動能力について」

医療法人社団つじむら歯科医院
「姿勢と歯並びついて」

芦塚下田保育園
「姿勢と歯並びついて」

>一生自分で歩く足育塾

一生自分で歩く足育塾

ほんとうの健康づくりのコツはとてもシンプル。さまざまな健康法やアンチエイジングケア法が日々登場している中で、これってホントに効果があるの? 理学療法士として美と健康を追求し、究極の美容法・健康法の基礎が足指にあることをお伝えします。「ひろのば体操」の方法や効果、足指についての知識をみんなで共有し、世界中の人が健康になれるお手伝いをしていきたいと思います。ハルメクWEBでも美容と健康のコラムを連載中です。

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