変形性膝関節症の術後の不満は50%と多く、術後の痛みは22〜52%残る

  • 2020年1月1日
  • 2020年8月6日
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変形性膝関節症で人工関節の手術をしたのに、膝の痛みが取れなかったと訴える人はかなり多いですね。私の元にもそんな方が数多く訪れています。

2003年に、人工膝関節全置換術(TKA)の手術を受けた方の追跡調査が行われました。1996年から2001年の間に手術を受けた患者114人中118人の人工関節置換術(TKA)を受けた方を対象に、手術後の2009年から2010年(2〜7年後)にかけて検査されたものです。55人の患者(58人のTKAを含む)は膝の回復に不満があり、59人(60人のTKAを含む)は膝の回復に非常に満足していると述べています。患者は臨床的にそしてレントゲン写真的に検査されて、そして6分の歩行と椅子 – スタンドテストから成る機能テストを実行しました。全患者が膝の痛みに関する視覚的アナログスケール(VAS、0〜100 mm)、さらに病院および不安およびうつ病スケール(HAD)を記入しました。手術をしても全ての方が満足しているわけではなく、半数の方が不満を抱いていることになりますので、人工膝関節置換術を行う際には慎重に考えていく必要があります。

手術をしても完全に痛みが取れるわけではない

次に、満足している群・満足していない群では膝の痛みが取れくらい違うのか。不満足な群はVASの平均が52mm、非常に満足した群のVASの平均が22mm、膝痛の平均VASスコアは30mm違うことになります。痛みの尺度で使われるVASとはVisual Analogue Scale と言って、長さ10cmの黒い線(左端が「痛みなし」、右端が「想像できる最大の痛み」)を患者さんに見せて、現在の痛みがどの程度かを指し示す視覚的なスケールです。100mm=最大に痛い、0mmは全く痛くないと判断します。世界的に使われている有名な手法です。ここで注目してもらいたいのは、最初の痛みが100mm(100%)だとすれば、満足している方であっても22mm(22%)は痛みが残っているということ。満足していない方に関しては52mm(52%)の痛みが残っているので、手術をしたから痛みが全て解決するとは限らないということなのです。

 

手術をすることで不安が増すこともある

身体的疾患を有する患者の精神症状(抑うつと不安)の測定として使われているHAD尺度では、非常に満足しているグループ(59人中23人)よりも不満足なグループ(55人中23人)の方が軽度、中等度、または重度の不安やうつを示す患者が多く見られました(p=0.001)。さらに、Scottetalの研究グループは2010年に、うつ病と精神的健康の悪さがTKA(人工膝関節置換術)手術患者の不満の程度に影響を与えることを発見しました。Branderらの研究グループでも、うつ病がTKA(人工膝関節置換術)後の転帰に影響を与えることを発見しました。そして、彼らは手術前にうつ病を識別して治療することがTKA(人工膝関節置換術)後の結果を改善するのに重要であるかもしれないと仮定しています。これはどんな治療においても同じことなのですが、メンタルケアというのはとても重要です。単純に「治療」に重点を置いても、心と体は表裏一体なので、すぐに治るか治らないかはスタジオでのカウンセリングで話しをお聞きしている間に判別できます。信頼関係もそうですが、良く話を聞いていきながら深層心理で何が不安なのか、過去の何に執着して膝痛の原因はこれだと思い込んでいるのかを探っていくことはとても重要です。

 

手術をすれば元に戻せないが、手術前であれば正座ができるまでに回復する可能性がある

平均ROM(関節可動域)は不満足なグループで97度、非常に満足しているグループで108度でした(p <0.001)。目標可動域は伸展0°、屈曲110°から120°の獲得を目指してリハビリテーションを行うと思いますが、自転車をこげる120度までの回復に届く方はそれほど多くはありません。多少しゃがむことができる範囲の獲得が平均であるので、このことも日常生活上で支障が出るかどうかを検討して手術をすることをオススメします。私としては、重度の変形性膝関節症で正座ができない状態であっても、適切なトレーニングを行えば再び正座ができるようになったという方を数多く見てきています。下記の方も重度の変形性膝関節症で軟骨のすり減りがあり正座はできませんでしたが、トレーニングを行なったことでわずか1ヶ月で正座ができるまでになりました。

 

膝はまっすぐになっても足首は曲がっている

まず考えるべきは「どうして膝の軟骨がすり減ったのか」ということと「どうして膝に痛みがではじめたのか」である。膝の変形や痛みは突然空から降ってくるものではなく、必ず「原因」があって「結果」が存在する。まずは膝が変形していくメカニズムについて簡単に説明をします。

足元の土台である踵骨がゆがむと、それにつられて膝が曲がってバランスを取ろうとします。このバランス機構が働いた結果が「変形性膝関節症」です。つまり、土台を整えないまま膝の治療を行っても、再発を繰り返すか、ほとんど治療効果を得られないままとなります。ヒアルロン酸注射や痛み止め、人工関節や骨切などの手術が、いかに無意味であるか分かると思います。

かかとの骨というのは、26個の骨で作られている「足」の一部です。この26個の骨というのは、筋肉や靭帯で支えられているので、筋力が低下すれば骨を支えられなくなるのは当然です。つまり本質的な治療というのは、足元の筋力を鍛える以外にないと言えるのです。足の筋力を鍛えるのは手の筋力を鍛えるのと同じで、指をひらいて伸ばした状態から握れば良いだけです。つまり足の場合であれば、足指を使って地面をしっかりと踏み返せば、筋力を取り戻すことができるのです。

そのための条件が足指が「ひらいて伸びている」ことにあるのです。ですから「YOSHIRO SOCKS」や「ひろのば体操」を行いながら土台を整えた上で、適切なトレーニング(リハビリテーション)を行なっていくことで姿勢が良くなり、自然と変形していた膝も改善して行くことになります。「YOSHIRO INSOLE」を使えば矯正効果が格段に上がるので、日常生活に支障をきたしている人であればインソールの製作もお勧めします。その証拠に、下の写真のようにO脚で変形した膝でも、まっすぐになり膝の痛みもなくなっていくのです。関節可動域(ROM)訓練、下肢筋力増強訓練、バランス訓練などの理学療法は必要ではなく、タオルギャザリングでは足部の一部しか筋肉を鍛えることができませんので効果としては低いものになります。

 

土台を整えた上で関節の動きを良くしていく

 

湯浅式インソール療法は骨を直接まっすぐに立て直すことができる唯一の治療法

湯浅式足底板(YOSHIRO INSOLE)療法は通常のインソール(市販のものや、義肢装具士が作製するもの)とは違い、個々人の本来の歩行や動作を取り戻すため、足のアーチ部分に凹凸をつけ調整することで、身体を効率的に働かせることができる治療法です。のべ6万人以上の方の足を診てきて、人間の足部骨格形状にはほとんど差異がないことに着目。足部の筋力低下による荷重時のゆがんだ足に合わせるのではなく、人間本来の骨格に近い非荷重の状態で合わせていくことで、3ヶ月おきに足そのものが変化していきます。湯浅式足底板を靴に挿入すると、人工関節置換術後の方の歩くときや動作をするときの痛みを劇的に改善し、その日から楽に動くことができるようになります。また、体を無意識にコントロールできるため、作製した足底板を入れた靴で歩くこと自体が変形性膝関節症の軟骨再生治療につながります。

YOSHIRO INSOLEとは?

 

リハビリの盲点は足指にある

妻との出会いにより「足指」という盲点が、既存のリハビリの限界を突破させてくれました。カラダの土台は「足」と言われていますが、その足を支えているのはまぎれもなく「足指」です。足指はバランスを取るために必要不可欠であり、小指を骨折すると分かりますがバランスよく経ったり歩いたりすることができなくなります。まさに「逆立ち理論」で手の機能と同じだったのです。

このように、理学療法士時代、病院でのリハビリの時に患者様の「足元」を見ていなかったのです。海外であればなおさらですが、靴を脱ぐことも、靴下を脱ぐこともありません。日本でもリハビリの時に裸足になって行う人もほとんどいません。そこが盲点だったのです。上記の論文でも靴や靴下を脱いで足指へのアプローチを行えば驚くほどの結果になっていたはずです。今、理学療法士の真価が問われています。もっと追求して足・足指にたどり着き、理学療法士にしかできない結果の出るリハビリテーション分野を確立するべき時代だと思います。

逆立ち理論とは?

 

変形性膝関節症のアライメントを整える、ひろのば体操とYOSHIRO SOCKS

「ひろのば体操」のやり方を写真で簡単にご紹介します。

ひろのば体操

 

また、ストレッチをして腰の痛みがなくなったからといって、それは必ずしも完治しているとは限りません。筋肉を硬くしてしまう要因が残っていると痛みが再発してしまいます。足指を矯正する靴下を履いて、足指の使い方を再学習させることも大切です。YOSHIRO SOCKSは足指矯正用の5本指靴下です。

YOSHIRO SOCKS

 


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